Temporary Named SS 8章
8章です。どうぞ。
「貴様!?」
クラインはその異形の存在と対峙していた。
「・・・エル・・・か?」
「あら? 誰かと思ったらクラインじゃない」
異形の体をクラインにさらすエル。
「お前まで・・・、悪魔に・・・」
「当たり前じゃない。ミリアがなったんだもの、みんななって当然よ」
「何を!?」
クラインはグレンピラーを構える。
「ほらほら。熱くならない。いつもの静かなクラインはどこにいったのよ」
「むぅ・・・!」
クラインの額に汗がじわりと浮かぶ。
「そんなことより」
エルは手を広げた。
「私が何をしに来たと思う?」
「・・・さしずめフェリアの手伝いだろう? お前は洗脳されているんだからな」
吐き捨てるようにクラインが言った。
かつての仲間が、こうして目の前に立っているのだから。
「それもあるわね」
「それも、だと?」
エルが頷く。
「あなたに会いに来たのよ」
「からかうつもりか!!」
クラインは頭に血が上っている。
錯乱状態とまでは行ってないが、しかし彼の通常の状態ではない。
立て続けに仲間を奪われたためだろうか。
「からかってどうするのよ」
「う・・・む・・・」
エルの言葉にはいつも何かがある。
そして、彼女の言葉には何度も助けられたことがある。
常に冷静であり、適切な状況判断を行えるように心がけているクラインでさえも。
それだけに、彼女の言葉を簡単には無視することができない。
「ならば、何をしに来た・・・」
「一緒に来ない?」
「!」
クラインはミリアにエル達をさらわれ、彼は精神的に大きなダメージを受けていた。
そのために普段の彼らしくもなく、熱くなって大声をふっかける。
そして共に来ないかという誘いも、思わず考えてしまう。
「何を・・・、馬鹿な・・・」
「ミリアもエルも、みんな一緒なのよ? キールだって。」
「う・・・う・・・」
剣を持つクラインの手が震える。
一人でいるのは苦痛ではないが、何よりも仲間を奪われたことが苦痛なのだ。
かつての仲間は、敵のもとで動いている。
それだけでも、クラインを考えさせるのには十分すぎた。
「あ、悪魔の言葉には・・・、惑わされない・・・!」
絞るような声でクラインは答えた。
「そっか・・・」
エルは心底残念そうな顔をして、
「じゃあ死ね」
全身に触手を作り、クラインを襲わせた。
「ぐぅ!!」
クラインはグレンピラーを巧みに操り、どうにか触手をかわす。
「ほら。さっさと死ね」
エルは無情にも攻撃の手を休めない。
「くそっ」
触手を切っても、すぐに再生する。
剣を振るえばそれだけ隙ができ、ふるわなければかわすしかない。
かわすにも限界があり、いつしか攻撃を受けることになる。
「あはははははは、クライン、逃げるしかできないのね? 弱い弱い!」
エルはあざけるように笑う。
もはやかつてのエルの面影はない。
クラインはそう感じていた。
「ぐあ!」
エルの触手の一つが、クラインの肩を貫いた。
「あったり~」
鮮血が肩の傷から滴る。
「片方だけじゃ不公平よね?」
エルは言うと、反対の肩にも触手を突き刺した。
「ぬああああ!」
激痛に叫ぶクライン。
「ほら、どう? 考えが変わったかしら?」
「はぁ、はぁ、か、変わる・・・、はずが、あるか・・・っ!」
「ふふ、強情なのね。次は両足かしら?」
エルが次の触手を伸ばそうとしたその時。
「なにかしら・・・」
エルが横を向き、虚空を見つめる。
「何かくるわ」
「なん・・・だと?」
すると暗黒のゲートが現れた。
「・・・誰かしら。ミリアはフェリア様のところにいるはずだし、ファルは安静のはず。」
「むぅっ・・・」
そのゲートからは、強烈な甘い香りが漂ってきた。
「う・・・? な、なに、このにおい・・・」
「・・・んげん、にんげんを、おかす。たねを、うえつける。せいきを、すいつくす・・・」
そこから現れたのは、ファルだった。
「ふぁ、ファル!?」
「に、にんげん!」
ファルはすぐに無数の触手を伸ばし、クラインを絡め取った。
「うあ、な、何をするんだ!」
おぞましい触手はクラインの装備を次々と外していく。
「お、お前は! ファル・・・!?」
「おかす、せいえきをすうの、だれでもいいから、にんげんをおかす。・・・」
まるでうわごとのように繰り返すファル。
クラインのすべての装備を外し終わると、すぐに自らの巨大化した膣に持っていく。
「く、離せ! ファル、聞こえないのか!!」
今のファルに聞こえるはずがなかった。
ファルの頭にあるのは、精気を吸い尽くし、種を植え付けて仲間を増やすことだけ。
そしてその性衝動は永遠に止まらない。
彼女は無限の性欲を与えられたのだから。
「ふぁ、ファル! あんた一体何しに・・・!」
エルもファルに声をかけるが、やはり聞こえないようだ。
「うっ!? く、一体誰がッ・・・!!」
開いたままのゲートに、エルだけが引きずり込まれていく。
「く、クライン! ファルから、逃げ・・・」
最後まで言えずに、エルはゲートにその姿を消した。
その日、ファルは初めて『ニンゲン』を味わった。
クラインはその異形の存在と対峙していた。
「・・・エル・・・か?」
「あら? 誰かと思ったらクラインじゃない」
異形の体をクラインにさらすエル。
「お前まで・・・、悪魔に・・・」
「当たり前じゃない。ミリアがなったんだもの、みんななって当然よ」
「何を!?」
クラインはグレンピラーを構える。
「ほらほら。熱くならない。いつもの静かなクラインはどこにいったのよ」
「むぅ・・・!」
クラインの額に汗がじわりと浮かぶ。
「そんなことより」
エルは手を広げた。
「私が何をしに来たと思う?」
「・・・さしずめフェリアの手伝いだろう? お前は洗脳されているんだからな」
吐き捨てるようにクラインが言った。
かつての仲間が、こうして目の前に立っているのだから。
「それもあるわね」
「それも、だと?」
エルが頷く。
「あなたに会いに来たのよ」
「からかうつもりか!!」
クラインは頭に血が上っている。
錯乱状態とまでは行ってないが、しかし彼の通常の状態ではない。
立て続けに仲間を奪われたためだろうか。
「からかってどうするのよ」
「う・・・む・・・」
エルの言葉にはいつも何かがある。
そして、彼女の言葉には何度も助けられたことがある。
常に冷静であり、適切な状況判断を行えるように心がけているクラインでさえも。
それだけに、彼女の言葉を簡単には無視することができない。
「ならば、何をしに来た・・・」
「一緒に来ない?」
「!」
クラインはミリアにエル達をさらわれ、彼は精神的に大きなダメージを受けていた。
そのために普段の彼らしくもなく、熱くなって大声をふっかける。
そして共に来ないかという誘いも、思わず考えてしまう。
「何を・・・、馬鹿な・・・」
「ミリアもエルも、みんな一緒なのよ? キールだって。」
「う・・・う・・・」
剣を持つクラインの手が震える。
一人でいるのは苦痛ではないが、何よりも仲間を奪われたことが苦痛なのだ。
かつての仲間は、敵のもとで動いている。
それだけでも、クラインを考えさせるのには十分すぎた。
「あ、悪魔の言葉には・・・、惑わされない・・・!」
絞るような声でクラインは答えた。
「そっか・・・」
エルは心底残念そうな顔をして、
「じゃあ死ね」
全身に触手を作り、クラインを襲わせた。
「ぐぅ!!」
クラインはグレンピラーを巧みに操り、どうにか触手をかわす。
「ほら。さっさと死ね」
エルは無情にも攻撃の手を休めない。
「くそっ」
触手を切っても、すぐに再生する。
剣を振るえばそれだけ隙ができ、ふるわなければかわすしかない。
かわすにも限界があり、いつしか攻撃を受けることになる。
「あはははははは、クライン、逃げるしかできないのね? 弱い弱い!」
エルはあざけるように笑う。
もはやかつてのエルの面影はない。
クラインはそう感じていた。
「ぐあ!」
エルの触手の一つが、クラインの肩を貫いた。
「あったり~」
鮮血が肩の傷から滴る。
「片方だけじゃ不公平よね?」
エルは言うと、反対の肩にも触手を突き刺した。
「ぬああああ!」
激痛に叫ぶクライン。
「ほら、どう? 考えが変わったかしら?」
「はぁ、はぁ、か、変わる・・・、はずが、あるか・・・っ!」
「ふふ、強情なのね。次は両足かしら?」
エルが次の触手を伸ばそうとしたその時。
「なにかしら・・・」
エルが横を向き、虚空を見つめる。
「何かくるわ」
「なん・・・だと?」
すると暗黒のゲートが現れた。
「・・・誰かしら。ミリアはフェリア様のところにいるはずだし、ファルは安静のはず。」
「むぅっ・・・」
そのゲートからは、強烈な甘い香りが漂ってきた。
「う・・・? な、なに、このにおい・・・」
「・・・んげん、にんげんを、おかす。たねを、うえつける。せいきを、すいつくす・・・」
そこから現れたのは、ファルだった。
「ふぁ、ファル!?」
「に、にんげん!」
ファルはすぐに無数の触手を伸ばし、クラインを絡め取った。
「うあ、な、何をするんだ!」
おぞましい触手はクラインの装備を次々と外していく。
「お、お前は! ファル・・・!?」
「おかす、せいえきをすうの、だれでもいいから、にんげんをおかす。・・・」
まるでうわごとのように繰り返すファル。
クラインのすべての装備を外し終わると、すぐに自らの巨大化した膣に持っていく。
「く、離せ! ファル、聞こえないのか!!」
今のファルに聞こえるはずがなかった。
ファルの頭にあるのは、精気を吸い尽くし、種を植え付けて仲間を増やすことだけ。
そしてその性衝動は永遠に止まらない。
彼女は無限の性欲を与えられたのだから。
「ふぁ、ファル! あんた一体何しに・・・!」
エルもファルに声をかけるが、やはり聞こえないようだ。
「うっ!? く、一体誰がッ・・・!!」
開いたままのゲートに、エルだけが引きずり込まれていく。
「く、クライン! ファルから、逃げ・・・」
最後まで言えずに、エルはゲートにその姿を消した。
その日、ファルは初めて『ニンゲン』を味わった。