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Temporary Named SS 5章

実はこの辺から章区切りが残っていませんw
つまり、4章までは区切りを意識していたんだけども、ここからは飽きた? のかも・・・
いま思ってみたら酷い話ですけれど。

なので、読みやすいように一応の区切りを追加してアップしています。
ではどうぞ。



「ファル。何か考えているだろう?」
無口なクラインが、またしても話しかけてきた。
「・・・」
ファルとクラインは、この一団でもっとも静かだ。
互いに何かを秘めているのだろうか。
それとも、類は友を呼ぶだけなのだろうか。
「・・・さっき、魔法屋に行ってきたの」
そしてファルは買ってきた二つの道具をクラインに見せる。
「・・・君はそう判断したのか」
「うん・・・」
破邪のクロスと恵水の水晶。
クラインもまだ若いが、経験は一流の冒険家だ。
ファルの両手に納められている道具を見て、彼女が何を考えているか読みとる。
「俺はこう判断した」
クラインは背中に背負った鞘から剣を抜く。
晴れた夜空に輝く月の光を受けて、その剣の刀身は黄色く光った。
「それ・・・!」
「俺の両親の残してくれた剣だ。」
ファルが珍しく声を上げた。
それだけの剣だったからだ。
クラインの父親は聖戦士(パラディン)であり、
母親はゴッドプリースト(神クラスの魔術師)であった。
そして二人の仕事は――デビルハント。
「闇」の深淵から現れたり、人間が変質して現れる悪魔を狩る。
真の意味での、この世界の勇者だった。
「・・・太陽剣・・・グレンピラー・・・」
ファルがその名を口から発すると、それに呼応するかのように剣は光る。
「親父はこの剣で一億を超える悪魔を斬り、滅したと言う。」
「・・・クラインは・・・、ミリアが悪魔になったって・・・?」
ファルの声が悲しげに聞こえる。
「可能性はある、ということだ・・・」
「だからって・・・」
「君だって対アンデッド用の道具をそろえたじゃないか。
戦いは、あらゆる可能性を考慮すべき事象。ならば悪魔になった可能性も捨てきれない」
ファルはうつむく。
本当に・・・そうなんだろうか、と。

次の晩から、クラインは「修行をしてくる」と言い残してどこかに行くようになった。
聖戦士であった親の血が騒ぐのだろう。
彼自身、ミリアが行方不明になってから表情が変わってきた。
デビルハントを生業としてきた両親。
その二人を見ながら育ったクライン。
・・・いつしかクラインはデビルハントをできるようになりたいと思っていた。
その願いがこんな形で叶うかもしれないとは・・・。
「・・・。」
クラインは町外れの森に行き、訓練をする。
襲いかかる無数の悪魔相手を予測する訓練。
全方向を意識した防御訓練。
空中戦に対応するための訓練。
すべての訓練は彼の父親直伝。
それも、聖戦士になるための訓練であり、聖戦士が自らを鍛えるための訓練でもあった。

ファルはそんなクラインを見て、少し怖くなっていた。
「・・・。」
何も言わず、表情も変えない。
イメージマジシャンたる彼女には言葉も表情も必要ないのである。
しかし、そんな彼女でも心は必要。
精神こそがイメージマジシャンの力なのだから。
(クラインはミリアが悪魔になってたら・・・)
考えるだけで恐ろしい。
仲間同士で殺し合う事態になるのだから。
(クラインはデビルハントをするのが夢だったって・・・)
さらなる恐怖が彼女を襲う。
「・・・う・・・」
想像だけの恐怖であるが、イメージマジックという特殊な力を持つ彼女は、思わずシールドを展開してしまう。
パチパチッという音がたった。
「ファル?」
キールが近づいてくる。
シールドは透明なので、キールには見えない。
「どうしたの? ・・・きゃあ!」
バチッ!
電気が流れたような音とともに、キールが押し戻される。
「あっ・・・」
ファルはその音にようやく我に返る。
同時にシールドも消滅した。
「あ、ごめん・・・キール・・・」
「シールドを張ってたのね。何かあったの?」
「・・・ううん。」
否定の返事をする。
キールも、ファルが寡黙なことは承知している。
「宿屋の中でシールド展開したら人が通れないじゃない・・・」
注意して、キールは自分の部屋に戻っていく。
「・・・恐かったの」
「え?」
キールが振り返る。
「・・・クラインが、ミリアを殺しちゃうかもしれないから」
「クライン、デビルハントをやりたかったって言ってたね。」
キールもそのことは知っている。
「でも、ミリアを殺すことになるかもしれないのはクラインだけじゃないわ」
「・・・」
ファルはうつむく。
「私が殺すことになるかもしれないし、エルかもしれない。
クラインかもしれないし、あるいは・・・ファル。あなたかもしれない。」
「・・・!」
ファルの目が見開かれる。
「わたし・・・」
「決まったことじゃないわ。もしかしたら、よ。」
キールは 壁に寄りかかる。
「私たちのやっていることは、戦争。市民からはわからないかもしれないけど、戦争なのよ。
戦争っていうのは、殺し合い。このくらいはわかるよね?」
弱気なキールは、論理っぽいとこがある。
「味方だったミリアが敵になっていたら、ミリアは私たちを殺そうとしてくるでしょ?
だから、私たちはミリアを殺さなければいけない。」
「・・・でも」
「 別にミリア殺しを正当化するわけじゃないの。私だって・・・」
キールは右手を握りしめる。
「・・・」
ファルはようやく悟った。
(みんな苦しいんだ・・・)
ファルは無口、無表情。
心も周りに疎いのだった。
いつも苦しいのは自分だけ。
いつも悲しいのは自分だけ。
そう思っていた。
「ファル?」
ファルはキールに背を向けて、歩き出した。

意志の光を灯さない女性が、夜の町を歩いている。
その顔はうっすらと赤く紅潮しており、恍惚とした表情だった。
「はぁ・・・」
ハイリアは、今し方主人から受けた命を思い出す。
『ファルの匂いをたどって、宿を探し当てなさい』
魔淫蟲を宿している彼女の五感は、すでに常人のものではなかった。
股間に手を当てると、その中に寄生している魔淫蟲が蠢いているのがわかる。
「ひぁ・・・」
びくり、と彼女は快楽にふるえた。
何を隠そう、ハイリアのローブの中では魔淫蟲の触手が全身を愛撫しているのだから。
甘い快楽に身を沈めながら、彼女はファルたちの泊まる宿を探し当てた。
「あぁ・・・、ここねぇ・・・」
体内の魔淫蟲が、ミリアに信号を送る。
魔の者にしか感知できない、特殊な香り。
すると、ハイリアのとなりにミリアが現れた。
「お姉様、ご苦労様。これでみんなを・・・」
そもそもハイリアを使う必要などなかった。
単に、ハイリアを使役する代わりに彼女に快楽を与えるという目的だった。
これにより、ハイリアはさらに隷属の深みにはまっていく・・・。
漆黒のローブを着たミリアは、宿屋に入っていく。
その後に、ハイリアも続く。

宿屋に入ったミリアは、全身から甘い催眠性の香りを放ち始める。
もともと夜中なので必要ないかもしれないが、他の客が起きて騒ぐと困る。
クライン一行以外には興味がないためだ。
「ふふ・・・」
邪悪な笑みを浮かべながら、ミリアは階段を上っていく。
甘い香りはクライン達にもきいているはず。
ハイリアも彼女についてくる。
徐々に、自らが放った蟲の気配が近づいてくる。
まず、エルの部屋に入る。
鍵がかかっていたが、人外の彼女に鍵など何の意味もない。
触手を伸ばし、中から鍵を開けた。
部屋の中では、エルがベッドに横たわっていた。
ミリアの放った甘い香りの効果のようだ。
「起きて・・・」
エルをゆする。
起きない。
「ねぇ、エル? 起きてったらぁ」
「ん・・・」
エルがようやく体を起こす。
「あぁ・・・、ミリア。どうしたの、こんなに遅くに。」
「あなたを仲間にしてあげようと思って。」
「そう。・・・! ミリア!?」
エルはハッとしたようにミリアを見た。
「無事だったの!」
「無事よぉ。当たり前じゃない。」
「よかったぁ・・・」
さすがに強気なエルも、安堵の表情を浮かべる。
「でもどうしたの? そんな真っ黒なローブを着て。」
「これ? これはね。私が闇の者だからよ。」
「は?」
エルは意味がわからない。
「だからぁ。私は闇の者になったの。」
「冗談言わないの! ミリアはフィエル様に・・・」
「んもぉ、エルって本当に強情よね。いいわ。証拠を見せてあげる。」
ミリアはローブを脱ぎ捨てた。
むろん、ミリアは裸。
しかし以前エルが見た時とはスタイルが全然違う。
「あら、ミリア成長したのねー・・・」
証拠を見せる、と言われてもなおこの様子のエル。
「ええ。そこにいるハイリアお姉様から精気を吸って改造したの。」
「・・・?」
エルはようやく不審に思い始める。
ハイリアの方を見ると、彼女は物欲しそうな顔でミリアを見つめていた。
「でも、私が体を改造する前にフェリア様が私を生まれ変わらせてくれたの」
「フェ・・・、フェリアって!」
エルの不審がやっと警戒に変わった。
しかし、もう遅い。
ミリアの股間から数匹の蟲が出てくると、ミリアの裸体をはいずり回る。
「む、蟲・・・?」
「そう。私は闇の蟲使いミリア。そして・・・」
背中から青紫の触手が現れると、ミリアを包み込む。
触手が離れると、変わり果てたミリアの姿。
「う・・・!?」
驚きと同時に、その甘美なる催淫性の体臭を大量に吸ってしまう。
「ふぁ・・・」
力が抜け、ベッドに座り込むエル。
「そして、蟲魔ミリアでもあるのよ」
「う・・・、み、ミリア・・・」
エルは股間のうずきを必至に耐えながら、その言葉を発した。
「なぁに?」
「ど、どうして・・・」
「どうしてって・・・、私はフェリア様に闇のすばらしさを教えて頂いたの。
最高の快楽を得られて、それを好きなだけ味わえるのよ? 幸せじゃない」
ミリアの左手は、改造して豊満になった胸に。
右手は自身の股間にあてがわれていた。
「あぁ、気持ちいい・・・」
エルは大声を出そうと試みていた。
しかし、ミリアの淫臭のため息が荒くなっており、思うように声が出せない。
「はぁ、はぁ、・・・」
「さぁ、エル。あなたもこの快楽を味わって? きっと闇が気に入るわよ」
「い、いやぁ・・・」
エルはベッドの上をずりずりと後ずさる。
「もぉ・・・」
ミリアは背中の触手を素早く操り、エルを絡め取る。
「うぁ・・・!」
青紫色の毒々しい触手は体液を分泌しつつ、エルを愛撫し始めた。
「ふぁぅ・・・」
エルはその快感に酔いしれ、まるで子犬のような声を上げた。
「うふふ、可愛いわぁ・・・、エル」
そのままぐちゅぐちゅと音を立てながら触手は愛撫を続ける。
しかし。
「ミリア!!」
ドアが突然開かれると、そこにはファルがいた。
「あら、ファル? よく私の催淫臭に耐えられるわね」
「まさか・・・、ミリア、悪魔になっちゃったの!?」
ファルは相変わらず無表情だが、その両目からは涙。
「そうよぉ。フェリア様が、私を悪魔にしてくださったの。」
「それなら・・・」
ファルはうつむく。
「それなら?」
「私が、あなたを殺す」
ファルの目は、独特の色をしている。
それは、彼女が精神のリミットを外した証拠であった。
「殺す? 仲間のあなたが、私を殺すの?」
「あなたはもう、仲間じゃない」
今のファルは精神が肉体と理性を凌駕している。
目の前の悪魔から聞こえる言葉は、すべて敵のもの。
理性を経由して処理する間もなく、言葉を発していた。
すべてを押し込んでいたファルの精神が具現化しているのである。
「悲しいわね。仲間に『殺す』なんて言われるの」
「敵は全員殺すわ。それだけ。」
ファルは目を閉じると、目の前の敵を殲滅するためのイメージを思い描く。
「お姉様。」
「はい・・・、ご主人様。」
ハイリアはミリアの前に立つ。
「イメージのお嬢ちゃん? ご主人様に逆らっちゃだめじゃない・・・」
いかにも洗脳されてる人間らしく、意志のない、けだるげな口調で言った。
「魔法屋のお姉さん。あなたも、敵!」
ファルが手を前に突き出すと、彼女の魔法が発動した。
天井に穴があく。
真っ黒な穴。
そこから、無数の隕石が降り注いできた。
「うふふふ・・・。」
ハイリアは右手で股間を愛撫しつつ、左手をパチンと鳴らす。
「う!?」
すると、隕石はミリアとハイリアをよけてファルの方へ飛んできた。
とっさに防御のイメージを描くファル。
「!」
左手を突き出して魔法を発動させ、隕石を防御した。
「ふ、ファル・・・」
エルはかつて見たことのないファルの魔法に、驚きを隠せないでいた。
だが、驚いている間もミリアの触手に犯されていたが。
「エル。そろそろ逝かせてあげるわ」
ミリアの触手の動きが速まり、股間を中心としたものに変わっていく。
「ふあ、ぁぁぁあ・・・」
とたんにエルの表情が惚けたものになる。
「うふふふふふ・・・」
ゆっくりと、だが確実に速く。
同時に、エルの目から光が失われ、焦点が合わなくなっていく。
「ああ、あああぁぁぁ・・・」
「さぁ、闇の絶頂を教えてあげる。」
ミリアの目が妖しく光る。
触手の動きも、一気に大きくなった。
すると!
「あっ、あああああああああああぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁ!!」
股間から大量の潮を吹き、エルは達したのだった。
「くっ!」
そんなエルを目にしながら、ファルは右手を出して次の魔法を発動させた。
「無駄よぉ・・・」
ハイリアは再び、左手をならそうとした。
しかし。
「え・・・?」
ファルが発動させたのは、禁断魔法の一種だった。
『宿屋の一室』という名の空間が、通常の次元から切り離されたのだ。
「もう、禁断魔法も禁呪の魔法もどうでもいい。私は、敵を殺す!」
殺気でギラギラと光るファルの目には、もはや何も映っていなかった。
直後、ファルは今度は左手で魔法を発動させる。
「次はこれよ! ディメンジョン=スラッシュ」
通常の次元から切り離したのは、このためだった。
異次元に放り出された宿屋の部屋は、不可視の力でズタズタに切り裂かれていく。
「ご、ご主人様!」
ハイリアはミリアを見た。
「大丈夫よ、お姉様。」
その声と同時に、ミリアの股間から一本の触手が現れると、それはハイリアの秘所に潜り込んだ。
また、ミリアは何かの呪文を唱えた。このためか、部屋の破壊は収まった。
「ひぃあ!!」
そして触手は、どくん、どくんと何かを注ぎ込む。
「あはぁ、あふぅ・・・!」
触手が抜けると、ハイリアの股間から触手が大量に現れる。
「あぁん・・・」
ハイリアの服を一気に破ると、そのまま嬌声をあげる彼女を包み込んでしまった。
「禁呪の魔法を止めるなんて! ミリア、絶対に殺す!!」
ファルは次のイメージを描き始めた。
「魔法屋のお姉さんも! 悪く思わないで!!」
そんな台詞がファルの口から出ても、まだ魔法は放たない。
強大な何かを描いているのだろうか。
「クス・・・、ファルったらムキになっちゃって」
ミリアは今し方絶頂に達したばかりのエルに向き直る。
「ねぇ、エル? 闇はね、今さっきエルが感じた幸せを無限に与えてくれるの」
「う・・・あ・・・」
エルは放心状態だった。
性行為を体験したことすらない彼女にとって、闇の、人外の快楽は精神崩壊すら起こしかねないものだった。
「んもう・・・、心ここにあらずねぇ・・・」
ファルはそう言うと、エルを絡め取っている触手の一本をエルの股間に沈めた。
「ああっ・・・」
「理性に聞けないなら、直接頭の中に話しかけるしかないわね」
彼女の取るこの方法は、悪魔ならではの手段であった。
どこからともなく声が聞こえ、その甘い誘いに乗ると・・・。
あとは通例のパターンである。

『エル・・・、エル?』
『ふあ・・・い・・・』
(もう、おかしくなっちゃったのは理性だけじゃないみたいね)
しかし、ミリアは容赦なく甘い声をエルにかける。
『気持ちよかった?』
『あ、う・・・ん・・・。さい・・・こぉ・・・』
エルの脳裏に、人間の姿をとったミリアが投影される。
ミリアの脳裏にも、エルの姿が映し出された。
『私はフェリア様にこの喜びを教わったの。別に洗脳されたり操られてるわけじゃないのよ』
『気持ち・・・いい・・・の・・・』
(これは完全に壊れちゃってるわねぇ・・・)
かつての友の精神を破壊したことに、何の感慨も持たないミリア。
『だから、エルにも私の喜びをわけてあげる。独り占めなんてしないから・・・』
『もっと、気持ちよく、な、れる、の?』
『そう。永遠に、無限の快楽を・・・』
『あ・・・ああ・・・、欲しいぃ・・・』
エルは涙を流しながら、ミリアに懇願した。
『欲しいの、欲しいのぉ・・・、もっと、気持ちよく、なりたいぃ・・・』
『本当に? 一度深みにはまると、抜け出せないよ? それでも?』
ミリアはあえて躊躇するような言動をとる。
エルをじらす目的だ。
『いいぃの、いいのぉ・・・! だから、早くぅ、もっとぉ!』
『うふふ、わかった。もう人間からお別れね。』
その言葉を最後に、二人の脳裏の映像はとぎれた。

――現実。
「ああぁ、もっと、ミリアぁ!!」
エルはダムが決壊したかのように、欲望の声を上げ続けていた。
「今あげるよ、エル」
先ほどハイリアの股間に埋めた触手をいったん自身の股間に戻す。
そして触手を操り、エルをそばに引き寄せた・
両手を股間にあてがい、こすり始める。
「ふふふふ・・・、ハイリアお姉様とは違う蟲をあげるね。」
ミリアの股間が緑の愛液で満たされると、エルの秘所に密着させる。
「あふぁ・・・」
粘液質のものが敏感な場所に触れる感触に、エルは恍惚の声を上げる。
「いくわよぉ・・・。ああん♪」
ミリアの中から人間の男性大の触手が伸びると、そのままエルを貫いた。
「きゃぁん! いいぃ!!」
エルは涎を垂らして女の喜びに打ち震えている。
否、女ではなく人外の喜びか。
「さぁ、たっぷりと私の娘達を注いであげる。・・・あはぁぁん」
ミリアの嬌声とともに、貫いている触手がどくん、どくんと脈打つ。
「ああぁー、くる! くるくるくるくるぅぅぅぅ!!」
無数の蟲達がエルの子宮に注がれている。
「もっとよぉ・・・、もっと・・・!」
たっぷり、たっぷり注ぐ。
「あぁー、あぁぁぁぁー・・・」
快楽にわななくエルの表情は、日常の彼女には考えられないものだった。
「もう十分かしらね。」
ミリアが言うと、蟲の注送を止めた。
そして代わりに何かの液体を触手に流す。
「うふふふふ・・・、これであなたも私の眷属・・・」
びゅくん、びゅくん、びゅくん・・・
近くにいるファルにも、その音は聞こえていた。
(く・・・!?)
ファルは必至になって禁断魔法を想像していた。
だが、高度になればなるほどに時間がかかる。
まだ半分少々しかイメージは完成していなかった。
「ミリア! 私の魔法が完成するまで、時間があるわ! いい加減正気に戻りなさい!!」
悪魔になったという事実を受け止めても、なおも説得を試みるファル。
理性を失い、破壊魔と化した彼女の、無意識のうちの友に対する声だった。
「私は正気よぉ・・・、ファルこそおかしいんじゃないの?」
そんな言葉を返すミリアの横で、エルの股間が『プシュウ!』と音を立てた。
蟲と液体で、彼女の子宮が満たされたのだった。
「ふふふ、あとは待つだけね」
ずちゅう、と音を立ててエルの股間から触手を引き抜く。
「ああぁぁ・・・」
エルは相変わらず快楽に壊れた表情だった。
「お姉様はそろそろ時間ね」
ミリアはハイリアがいる触手の固まりに目を向けた。
「さぁ、お姉様? ファルに最高の世界を教えてあげて」
その言葉に呼応するかのように、ハイリアを包んだ触手がほどけていく。
「うっふふふふふ・・・」
現れたハイリアは、どこかミリアに似ていた。
しかし、体の至る所に禍々しい模様が刻まれており、異形の器官をも備えていた。
(まだ、まだかかる・・・!)
そのハイリアを見ながら、ファルは焦燥にかられる。
異形の存在となったハイリアは、邪悪な姿にも関わらず異常なまでの美しさだった。
「イメージのお嬢ちゃん。ご主人様は、フェリア様から世界を喜びに包む使命を仰せつかったの。
邪魔したらご主人様も迷惑だし、世界の人々も迷惑なのよ・・・?」
「うるさい!!」
ファルは全身に魔力を帯びている。
その力量は、光の最高位の魔術師並みであった。
ファルの強力な魔力は、無意識のうちに彼女を宙に浮かせていた。
「お嬢ちゃんはまだ子供だから、わからないのよ。だからね」
ハイリアが歩み寄ってきた。
「お姉さんが手取り足取り教えてあ・げ・る」
そのままハイリアはファルに口づけをした。
あまりの突然さに、ファルは抵抗できない。
「んむぅ・・・」
一瞬遅れて、ファルは体をねじって抵抗を始めた。
しかし、なぜかその動きは徐々に小さくなり、そして最後には止まってしまった。
「んふふふ・・・、やっぱりね」
ハイリアはファルの唇を解放する。
「魔力の衣のおかげで、ご主人様の催淫の香りがきかなかったのね。」
「う・・・ぐ」
ファルは力が抜け、床にしゃがみこむ。
彼女を覆っていた魔力も、弱まっていった。
「その証拠に、ほら。私の体液を直接流し込んだらこれだもの。」
彼女の体液は、ミリアの体から発せられる催淫臭を濃縮して液化させたもの。
本人は否定していたものの、真症の淫乱であったが故に彼女はミリアの力でこう生まれ変わったのだった。
(ま、まずい・・・!)
もはや、ファルの目論見:次元破壊の連続禁断魔法は失敗に終わろうとしていた。
成功していれば、自分はおろか闇世界にいるフェリアにも大きな影響があったというのに・・・。
「ふふ、お姉様も今は立派な私の眷属ね」
「はぁい・・・、ご主人様のおかげです・・・」
ミリアの声に恍惚と感謝の返事をするハイリア。
「さぁ、ファルちゃんっていうんだっけ? ファルちゃんも、ご主人様の虜になってね」
「い・・・、いや・・・!」
ファルの爆発した力は、ハイリアの体液のせいで愛液となって流れ出ていっていた。
ハイリアは股間を激しくこすると、その手をファルの前に差し出した。
「う・・・、な、なに・・・」
「うふふ、今から可愛い私の子供が生まれるの」
その言葉と同時に、ハイリアの手のひらに付着していた緑の愛液が動き始める。
ぐちゅぐちゅ、と卑猥な音を立てながらその液体は細かい無数の蟲を形成していった。
「ひ・・・あ・・・」
ファルは目の前の異形の女が、自らの愛液から蟲を作り出した事実に恐怖を覚えた。
(や、闇って・・・!)
「さぁ、ご主人様が世界に広げようとしている喜びを感じてみて。きっと考えが変わるから」
「か、変わらないわよ!!」
ファルは虚勢を張った。
「どうかしらねぇ・・・」
ハイリアは無数の蟲が乗るその手を、ファルの秘所に当てた。
「ふあああ! いや、いやぁ・・・! やめてよぉ・・・!!」
ファルの声もむなしく、ハイリアの蟲はここぞとばかりにファルの穴に入り込んでいく。
「いやぁ、離してぇ! やめて、お姉さん!!」
ファルは暴れようとしているが、思うように動けない。
すでに蟲が作用し始めているのだ。
「もうちょっとで全部よぉ・・・」
ハイリアは妖しく微笑む。
「あっ、あああぅ、やめてぇ・・・!!」
徐々にファルの拒絶の声が小さくなっていく。
「さぁ、全部入ったわ。」
ハイリアは青緑色の手をファルの股間から離した。
「ゃぁ・・・」
「どう? 気持ちいいでしょ?」
いつしかファルの手は、片方が胸に、片方が秘所にあてがわれていた。
「き、気持ち・・・よく・・・なんか・・・」
最後まで言えず、ファルはうつむく。
「否定しなくていいのよ? ご主人様はファルちゃんのお友達なんだから。
あ、私がいるから本当のことを言えないのかな?」
ハイリアはおどけたように話した。
「それなら、本当にことを言えるようにしてあげたらどう?」
ミリアがハイリアに声を掛けた。
「その方がいいですかぁ?」
「私だって、ファルが乱れる所を見てみたいわ」
「わかりました、ご主人様がお望みなら・・・」
ハイリアはファルに向き直る。
「ご主人様がお望みなの。本当の声が聞きたいみたい」
すると、ハイリアの両肩についている毒腺がふくらんでいく。
「んふふ・・・、ウブな女の子がどこまで乱れるのかしら・・・。私も楽しみ」
ハイリアはファルの前に立った。
「さぁ、見せてね」
そしてファルに肩の毒腺を向け、大量の液体をそこから流し始めた。
「ふああ! いやぁ!!」
ねっとりとしたゲル状の液体は、ファルの下半身をゆっくりと包み込んでいく。
ファルは頭からハイリアの液体をかぶる格好になっている。
「うふふふ・・・」
ミリアもハイリアも、不敵な笑みを見せている。
「・・・ゃぁ・・・、・・・」
もはやファルの拒絶は聞こえなくなっていた。
代わりに、彼女の両手の動きが大きくなっているのがわかる。
エルと同じく自慰行為すら知らないファルが・・・。
うつむき加減なファルだが、手はしっかり動かしている。
「もぉ、本当の言葉が聞きたいのに。お姉さんが手伝ってあげようか?」
無言で自慰をするファルに、ハイリアが痺れをきらせた。
ハイリアは両手に毒腺からゲル状の液体をとると、ファルの秘所に塗り込んだ。
「ひぃああ!」
ファルはその悩ましいくも鋭い快感に、思わず声を上げた。
「あぁ、いい声ねぇ・・・。もっと鳴いてね」
再び毒腺から液体を取り、ファルの至る所に塗り込んでいく。
それを2回、3回と繰り返すうちにファルは先ほどとは異なる声を上げるようになっていた。
「気持ち、いい・・・の・・・?」
ファルは性行為における快楽など、全く知るよしもなかった。
その彼女が、今その快楽に目覚めようとしている。
「そう。これが、エルや私がご主人様からいただいた快楽なの。」
快楽の意味すら知らなかったファル。
初めての快感にとまどうのも無理はない。
「気に入った? ゆっくり味わっていいのよ。ここはあなたが切り離した空間なんだから」
同時にファルの体にさらに液体を塗り込んでいくハイリア。
「あはぁ・・・。気持ち・・・いい・・・」
禁断魔法を使った時とは比べられない、甘い声がファルの口から紡がれる。
「もっと鳴いて。私もご主人様も、あなたの鳴き声が聞きたいのよ」
もう一度ハイリアは毒腺をふくらませ、液体を浴びせかけた。
「ああぁ・・・、気持ちいい・・・、気持ちいいよぉ・・・」
「あはぁん、毒を出すと私も気持ちいいのよねぇ・・・」
いつしかハイリアは恍惚とした表情を浮かべていた。
数回にわたって毒を使い、ようやく感じ始めたというのだ。
さすがは真症の淫乱である。
「ほら、お姉さんも一緒に気持ちよくなってあげる」
ハイリアはそう言うと、ファルを抱きしめて横になった。
床はもはやハイリアの毒液で満たされているため、二人にとっては快感以外の感触はなかった。
「ああん、気持ちいいぃ、いいの・・・」
ファルは横になるとき股間を床にすり合わせたらしく、その刺激を感じていた。
「ここを、こうすると、もっと、気持ち、いい、かな・・・?」
ファルは試すように、床に股間をこすりつけてみた。
「ひいぃん!!」
強烈な快感が秘所から全身を駆けめぐる。
「そんなとこでこすらないで。私がなめてあげるわ」
ハイリアは69の体位になり、ファルの秘所に舌をのばす。
ぺちゃ・・・、くちゃぁ・・・
静かな異空間の部屋に、粘液質の音が響く。
「くぅうぅん・・・、いいぃ・・・」
甘い甘い刺激に、もはやファルは抵抗することを忘れていた。
同時にこの快楽に屈する意味も。
「ほら・・・(ぺちゃ)、ファルちゃんもなめて・・・(くちゅり)」
「あふ、は、はぁい」
ファルはハイリアの秘所に舌を当て、なめ始めた。
「ふは、いいわぁ」
淫魔のように顔をゆがめ、快楽を味わうハイリア。
二人はしばらくの間、互いの秘所をなめ続けるのだった。

(そろそろいいかしら)
ハイリアがなぜ69をしたか。
それには意味があるのだった。
「じゃあ、ファルちゃん。絶頂を味わってみよっか」
「ぜっちょう・・・?」
秘所をなめる舌を休め、ファルはハイリアを見つめる。
「そう。絶頂こそが、快楽の神髄。うーん、奥義って言った方がわかりやすい?」
奥義という言い方はどこか変だが、まぁそんなものである。
「お、うぎ、教えて、ください、お姉さんん・・・」
ファルはもはや快楽の虜だった。
「そのお望み、私がかなえてあげましょう~、てね」
おどけつつ、ハイリアはファルを仰向けにした。
「見ててね」
言うと、右手を股間にはわせた。
するとそこからミリアと同じような触手が顔をのぞかせた。
やはりミリアの眷属だけある。
基本的な能力は受け継いでいるようだ。
「あっ・・・」
潤んだ瞳で、ファルはその瞬間を見ていた。
妙にその触手が愛らしいものに見えて仕方がない。
ハイリアはその触手握ると、上下に動かす。
疑似男根を用いた自慰行為。
「ふはぁ!」
嬌声と共に、触手の先端から緑色の液体が勢いよく飛び出た。
やはり液体はミリア譲りの淫薬であるが、すさまじい濃度らしく異様なまでの甘ったるい香りがした。
「どう? これ、男の人が持ってるものよ。これをその穴に入れるのよ」
ハイリアはファルの秘所を指さした。
「あっ、ああ・・・、欲しい。その棒が欲しい・・・」
「じゃあ、あげる。いい子のファルちゃんには、意地悪しないわ」
ハイリアはファルを抱き寄せると、ゆっくりと触手を埋めていった。
同時に両の胸をもむ。
「ああ・・・、ああああーーー・・・」
ファルの瞳は焦点が合っていない。
ずぶずぶと入っていく触手。
「ファルちゃんの中、あったかぁい・・・」
そして、腰と腰が密着する。
「全部入ったわよ?」
ハイリアのその声も、ファルは聞こえていないようだ。
快楽の階段を上っていく人間特有の現象である。
そんなファルを、ハイリアは愛おしく思う。
「もっと喘いで、もっと気持ちよくなってね?」
上下運動を始めるハイリア。
「はあ、ああ・・・、あ・・・、あ、ああぁん・・・、あん・・・」
運動のたびにずちゅっ、ずちゅっ、とハイリアの毒液が膣で触手とこすれる音がする。
その行為のため、どんどん高みに昇っていくファル。
ハイリアもまんざらではないようだ。
「はぁ、ん・・・、私も気持ちよくなってきたわぁ・・・、あん」
その上下運動も、やがて速度が上がっていく。
「はぁはぁ、いいのぉ、いい、いい・・・はぁん」
「ああ、そろそろ逝っちゃうわぁ・・・」
ハイリアの触手も、本物の逸物のように堅くなっている。
「逝く? 逝くって、なんか、ああん・・・」
用語の意味がわからないファルにとって、『逝く』という言葉は恐怖の対象になったようだ。
「大丈夫よぉ、お姉さんがついてる、からぁ・・・」
言うと、ハイリアはファルにキスをした。
「ん・・・」
ファルが目を見開く。
ハイリアの口内から触手が入り込んできたのだ。
笑みを浮かべるハイリア。
ファルは無意識のうちに、触手を舌で愛撫し始めていた。
すべてが彼女を侵している淫らな気、そして香りのせいだった。
やがて、二人は同時に同じ感情を抱くのだった。
『イク・・・!』
「んんんんんんんんんーーーーー!!」
ファルは言葉にならない叫びをあげ、達する。
同時にハイリアは股間と口の、両方の触手から緑の精液を吹き出した。
横で傍観しているミリアにも、精液を注ぐ音が聞こえるような気がした。
どくん、どくん・・・
ハイリアの、人を堕落せしめる猛毒の精液が今、ファルを蹂躙している。
「ん・・・んん・ん・・・」
いくら出しても止まらないハイリアの精液。
それはやがて、ファルの腹をふくらませていった。
上下両方から注いでいるのだ。当然である。
しかし、ファルは苦しそうなそぶりは全く見せない。
もはや意識がないのだろうか?
ハイリアは気遣うことなく、延々と精液を注ぎ続ける――

ごぽっ、という音と共にハイリアは上下両方の口から触手を引き抜いた。
今やファルの体内は、ハイリアの精液で完全に満たされている。
ハイリアはファルを抱くと、ミリアの側の壁によりかからせた。
「ふは、あ、おねえ、さん・・・、きも、ち、よ、よか・・・」
それ以上話せなかった。
精液が肺に入ってきそうだったからだ。
本能的にそれを察知し、ファルは閉口した。
「私もたくさん出せて、気持ちよかったわぁ・・・」
「んふ、お姉様はやっぱり淫乱なのね。最初からそう思ってたけど。」
ミリアは微笑んだ。
「エルちゃんには何を寄生させたんですかぁ?」
ベッドの上のエルを見て、ハイリアがミリアにきいた。
「ふふ、私と同じ。妖淫蟲よ。」
「ああ、ご主人様を闇に目覚めさせてくれたっていうアレですかぁ」
「だけど、寄生させただけじゃないわ。」
「どういうことです?」
「それは見てのお楽しみ♪」
人間に蟲を寄生させることに何の躊躇もない二人の会話。
それを邪魔するかのように、ドアが一気に開け放たれた。
クラインとキールがようやく気づいたのだ。。
「エル、ファル!?」
キールが声をかけても、二人は返事をしない。
エルは気を失い、ファルは声を出せないだけだが。
「・・・おのれ」
クラインは背中から剣を抜いた。
ファルに見せた、あの父親譲りの剣だ。
悪魔を前にして、グレンピラーは春の木漏れ日のような暖かい輝きを放っていた。
「み、ミリアなの・・・?」
キールはおそるおそる尋ねる。
「あら、キールじゃない。久しぶりねぇ。よく入って来れたわね」
「ご主人様。ファルちゃんが墜ちたからじゃないですかぁ?」
「あぁ、多分そうね。禁断魔法も術者がいなくなったらそれまでなのね」
ミリアがクラインとキールの方を向く。
「み、ミリアなんだ・・・。それにこの甘い匂い、何?」
ファルが墜ちたため、切り離されていたこの部屋は通常の次元に戻っていた。
しかし、先ほどのファルとハイリア、ミリアとエルの行為のためにすさまじい性臭がたちこめている。
「・・・性臭だ」
クラインは言いづらそうに、一言だけ発した。
キールはその言葉に少し赤くなる。
「そ、そんなことより! ミリア、あなたいったい・・・。その姿は?」
「ミリアは悪魔になった。その隣の女も。それだけだろう」
クラインが淡々と言い放つ。
もはや彼は覚悟を決めているようだ。
自分がミリアを殺さなければならないことに。
「そう。私は蟲魔ミリア。フェリア様の下僕なの」
「そんな!」
「そこで寝てるエルも、ファルも、ハイリアお姉様も。みんな私が仲間にしてあげたの」
「くっ!」
クラインは斬りかかった。
「お姉様!」
「はぁい」
ファルの隕石の魔法を防いだように、ハイリアは部屋の真ん中に大きなシールドを張った。
「む!?」
クラインはシールドの発生に気づき、足を止める。
普通につっこんでも破れないのである。
「ミリア! やめてよ、なんか間違ってるよ!!」
キールは必至に説得を試みる。
「なんかファルとおんなじこと言うんだね。間違ってるのはみんなの方だってばぁ」
「キール。シールドを破ってくれ」
珍しくクラインが人にものを頼む。
「で、でも! ミリアを殺すなんて・・・」
「わからないのか? あいつは闇だ。闇の悪魔なんだ。殺す以外にあるまい」
「私は・・・、いや。ミリアを殺すなんてできない。」
弱気なキールも、珍しく意見をはっきりさせる。
「もういい。この剣で突破してみせる」
クラインは再びミリアの方へ走る。
シールドの前で、剣を一閃。
だが、シールドは破れなかった。
「むぅ!? 太陽剣でも破れない・・・とは!?」
高位な光の魔術師であったハイリアは、ミリアの眷属となった時点でそれ以上の闇の魔力が身に付いていた。
つまり、太陽剣の能力をはるかに凌駕するレベルの闇魔術のシールドなのである。
「無駄よぉ、お兄さん?」
ハイリアは誘うような口調でクラインに言った。
「クライン。あなた、いつも独りだよね。寂しくないの?」
「黙れ」
再びシールドを破ろうとするが、うまくいかない。
「キールはいいよね。ティアと一緒で優秀なんだもん」
「そ、そんなこと・・・」
「相手にするなキール。つけ込まれるぞ」
「ひどいこと言うのね、クラインは」
「あ、ご主人様ぁ」
ハイリアが突如、ミリアに話しかける。
「なに?」
「あの、キールっていう子なんですけど。」
「うん」
「ご主人様が蟲を寄生させるんじゃなくて、シィズ様に・・・」
「あぁー、それいいわねぇ。弱気で内気なキールが・・・、うふふ・・・」
「わ、私が・・・どうしたの?」
キールは自分のことを話されていることに気づく。
「ううん、なんでもない。それじゃ、そうしましょうか」
「はいぃ」
するとハイリアは何か呪文を唱え始める。
「クライン、悪いけれどまたしばらく独りになってもらうわ。」
「何を!? ミリア、お前は俺が・・・!」
「きゃあ!?」
「む!?」
キールが叫び声をあげる。
見ると、なんと床に暗黒の穴が開いてそこに沈み始めているではないか。
「き、キール!」
クラインはキールの手をつかみ、引き上げる。
しかし魔術の穴は圧倒的な力でキールを引きずり込む。
「うあ、た、助けてクライン・・・!」
「ううむむむむ・・・!」
クラインの必死な救助活動も叶わず、キールは闇に飲み込まれてしまった。
同時にその穴は口を閉じた。
「うふふ、それじゃあ私たちも行きましょうか。お姉様」
「わかりましたぁ」
部屋に黒い霧が立ちこめていく。
「それじゃ、クライン。またね。次にあうときは、みんなで気持ちいいことしようね」
「くっ、待て!!」
その言葉を最後に、ミリア、ハイリア、エル、ファルも姿を消した。

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某所にSSを投下して数年。しばらく休憩していましたが、悪堕ち界隈の方々との交流等もあり、復活と同時に自分の記録をつけるため開設。拙作は月光蝶氏による保管庫、まブ氏によるまとめブログのみに転載を許可しております。

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